自分でわが家を作る本。

大工でも建築家でもない著者が、DIYで自分の家を建てる工程を事細かく書かれています。実際自分で家を建てるとなると、いろいろ大変だと本書を読んで感じますが、やろうと思えば可能だということを感じさせてくれる良書です。

建築関係の仕事をしたことのない人にとって、建物を建てる際の全体像が中々把握できません。私はニワトリ小屋の製作を突貫工事で行った後で、基礎づくりの大切さなどいろいろ反省することが多かったので、本書で建築の工程全般を一から学ぼうと思い購入しました。実際書かれた知識を活用するのは随分先の話になるでしょうが、買ってよかったと思います。

この本で書かれている建築法は、面で建物を支えるツーバイフォー工法ではなく、柱や梁を組んで支える木造軸組み工法(在来工法)です。通常ですと技術的な内容が大半を占める本が多いと思うのですが、本書では現場管理をどうするか、建材をどうやって入手するのかなど建築を行う過程で素人が必ずぶつかるであろう疑問にも答えているのが親切だと思いました。著者の失敗談も書かれていますし、素人の観点から書かれているというのが本書の強みです。

プロの方が書かれた本も良いのですが、一方で素人の方が書かれた本は基本独学の過程で試行錯誤されて習得した技術が多いでしょうから、同じ独学者の私にとって参考になる部分が多かったです。

理想を言えば、素人が家を建てる際はプロの建築家によって書かれた本と、本書のように素人の視点で書かれた本の両方を参考にすべきだと思います。当然、素人ですから建築物の細かい耐久計算などまで手が回りません。自分のオリジナルの家を作りたいのであれば、プロの方に設計図の確認をお願いしたり、基礎工事まではプロにおまかせするなど自分の技術レベルや予算などに応じて外部に依頼すべきところはした方がよいでしょう。

気を付けて欲しいのが、本書は建築家になる本ではないので、オリジナルの家を一から設計できるようになる本ではありません。自分で設計しても良いでしょうが、当然全て自己責任となります。他に素人の建築物には、法律的にも制限が加えられていますのでご注意ください。

率直に言って一戸建ての家を自分で建てるという観点から言えば、本書の内容だけでは不十分だと思います。しかし、小さな物置小屋を建てる程度であれば充分だと感じます。

本書の最初の方で、家が完成するまでの道のりのダイジェスト画像が載せてあります。日曜大工で仕事の合間に2階建ての一軒家を建築されていますので、完成まで1994年9月から2004年3月までかかっています。仮に著者が建てたような家の規模ですと、建築に毎日費やせたとしても勉強期間も含めて2~4年はかかりそうです。小さな小屋程度ならば、数か月でできると思います。

ちなみに、私が第2種電気工事士の資格を取得したのは、本書を読んだことがきっかけとなっています。いずれ自作する際、電気の配線も自分でできた方が良いと思いました。大学で電気工学を専攻していましたが、それは資格取得と直接の関係はありません。

他に著者の氏家さんは、本書以外にも木造平屋10坪の小屋を自作する工程を詳細に紹介しているDVD動画を販売されています。本を読むだけでは具体的な作業風景が想像しづらかった部分がありましたが、基礎工事の工程は個人的に特に勉強になりました。

こちらのDVDは下記のリンクから購入できます。送料込で3800円というかなりの良心的お値段で販売されていますし、本書と併せて用いると私のような独学中心の人には心強いはずです。

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動画でわかる建物作りのDIY DVD3枚組

私は将来生活していく上で必要になるかもしれない小さな小屋を自作する際に、本書とDVDを参考にさせていただこうと思います。

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