ツナギ売買の実践

ツナギ売買はプロの投資家を目指すのであれば、ぜひ身につけておきたい投資技術だと思います。私にとってツナギ売買を実践する主な理由は、自分の心を効果的に制御するためです。

欲や感情の制御をすることは投資を行う上で絶対必要だと思うのですが、ただ思っただけでは私は自分自身を完全にコントロールすることができませんでした。このツナギの技術を身につけることで自分の精神の未熟さを多少補完できるとしたら、学ばない手はないと思います。

もちろんツナギを行う目的は他にもあり、例えばコストダウンや保険目的で行うツナギもあります。ご自分に合った目的でツナギ売買を学び、その技術を習得されれば良いと思います。ちなみにヘッジや鞘取りもツナギ売買の一つです。

まずツナギとは何かと思う人が多いと思いますのでその説明をしますと、簡単に言えばツナギ売買とは本玉と反対ポジションの売買の事です。例えば買いの本建て玉を建てている状態で、同時に売りの試し玉を建てる投資手法などを言います。

著者の林さんも語られていることですが、ツナギ売買は理解するのが難しく、所謂定石というものがありません。人や分野によってツナギの目的や手法も違います。立花義正さんや板垣浩さんの著作をすでに読まれているならば、ツナギで売買を行っている様子を何度か目にしたと思います。

しかしツナギ売買をより深く知るためには、お二方の書籍だけでは不十分だと私は感じます。そのために林さんのツナギの専門書を購入しようと思いました。多少複雑な内容となりますので、投資にある程度慣れた方向けの本となります。

相場の先入観を失くす

私はこのツナギ売買を理解して実践することが投資の技術を高め、さらに投資手法の幅を広げることになると感じています。最初の方でも書きましたが、ツナギ売買を行う目的は心の制御、もっと具体的には投資に対する先入観を失くすためです。

先入観とは非常にやっかいなもので、この先入観により普段だったら絶対行わないような愚かなことも平気でしてしまいます。

例えば買いや売り一辺倒の売買方法ですと、買いをしている人は価格が上がって欲しいと思います。逆に売りをしている人は価格が下がって欲しいと思います。この願望が時に投資家をしばしば苦境に立たせると私は痛感しています。

ツナギ売買を行うと、例えば買いの本建て玉を持っている場合にそろそろ波の転換期が近づいていると考えた場合、売りの試し玉を建ててみるのです。そうすると、買いと売りの両方の建て玉を同時に持っていることになります。

買いの本建て玉を保有し続けることで価格が上がって欲しいという願望を維持しつつ、一方で売りの試し玉を持つことで上昇トレンドも終わりが近いと心構えが出来ています。

そうすることで、いきなり相場が反転して価格が急落している時なども、前もって想定していた値動きですから冷静に対処することが可能です。

買いの建て玉しか保有していないと相場が上がること前提(願望)で常に考えてしまいがちですから、トレンドが完全に反転しているのは明らかなのに損切りをせず、押し目買いをし続けてドツボに嵌ることもよくあります。

もちろんツナギ売買には様々な方法や目的がありますから、ここで述べたのは基本的な一例に過ぎません。詳しい手法は本書を参考にしてください。非常に有用な本だと思います。

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