パソコンの無線接続トラブル-原因徹底追究編

パソコンの無線トラブル-原因追究編

ここでは、前回の「パソコンに関連する様々な無線接続トラブルまとめ」よりも、さらに突っ込んで無線トラブルの原因と考えられる事柄を可能な限り書いていきます。

注意:本記事は10年近く前に学んだ知識で書いていますから、間違っていたり時代遅れになっているかもしれませんが、生暖かい目で見てやってください。

環境要因

1.マルチパス

マルチパスとは無線信号が2つ以上に分かれ、受信アンテナが同一信号の複数コピーを受信してしまう時に起きる問題です。上記の図がマルチパスのイメージ図です。壁やテーブルなどの障害物によって信号が複数経路に分割されます。信号が障害物に反射すればするほど、受信機までの伝播経路が長くなります。伝播経路が長くなるほど、信号の遅延も大きくなります。

元は同じ信号が別々のタイミングで受信アンテナに到達するわけですから、信号が重なってしまうこともあります。そうすると、受信機は正しいデータを読み出すことができなくなります。これがデータ・エラーで、信号の再送信を送信側に要求する必要があります。このような再送信要求シークエンスは、無線データ送受信のパフォーマンスを著しく低下する原因となる場合があります。

例えば私のX220iなどには、無線モジュールにインテルの”Centrino Advanced-N + WiMAX 6250″を使用しています。これは複数のアンテナ(X220iの場合はアンテナ2つ)を使用してデータをやりとりする、アンテナ・ダイバーシティに対応していますので、マルチパスの干渉を補うことができます。つまり、アンテナ・ダイバーシティとは無線の接続性を向上させる技術です。アンテナを2つ利用していますから、より多くのデータを短時間で送受信することができます。この場合の理論値の最大速度は300Mbpsになるはずです。実際のデータスループットは、干渉などによりそれ以下になります。

ちなみに、WiFi、WiMAX、Bluetoothなどは全て2.4GHz帯の高い周波数を利用していますので、この周波数による電波の特性によりコンクリートなどの障害物を貫通しにくくなっています。ビルの中でWiMAXが繋がりにくいという話が多いのも、この電波特性によります。

一方ラジオなどは、MHz帯の比較的低い周波数を使用していますから、WiFiやWiMAXなどでは繋がりにくいビルの中でもラジオが聞き取れる場合も多いと思います。

2.ノイズ干渉

ノイズは目には見えませんが、あらゆる電化製品から放出されています。特に電子レンジなどは、パソコンで使用するWiFiなどと同じ2.4GHz帯の電磁波を放出すると言われていますから、もし無線の接続が安定しない時は、電子レンジが近くに置いてあったり稼働していないか確かめた方がよいでしょう。

ノイズはマルチパスのようにアンテナから入ってくることもあれば、強い電磁波が電子回路内部で起電力を発生させて回路を破壊することもあるかもしれません。雷も大きな電磁波を発生させますから要注意だと思います。アンテナから入ってくるようなノイズは、その周波数が2.4GHz帯のレンジでなければ、バンドパスフィルターなどで除去できるはずです。

電化製品だけではなく、太陽のフレアなども磁気嵐(ノイズ)を出す原因となります。太陽フレアが人工衛星の動作を狂わせたり、故障させる原因になると聞いたことがないでしょうか?

人工衛星の設計時には、太陽風などの強力なエネルギー粒子から電子部品を守るために、シールドなどのあらゆる対策が施されています。例えば電子部品には、耐久性の高い軍用規格の部品が用いられますが、絶対壊れてはいけないような大事なシステムには、さらに耐久性のある宇宙規格の電子部品が採用されたりします。もちろん高い耐久性と少量生産の宇宙規格の電子部品は非常に高価です。

電子部品の選定だけではなく、宇宙でさらに電子機器を安全に動作させるためには、多重系システムが採用されます。特に電源系統は故障したらすべてが終わりですから、2重3重の多重系の電源システムを設計するだけではなく、それぞれのサブ電源システムで異なった部品や設計手法を用いて全体的な電源システムを構築することが必要になってきます。部品や設計そのものに欠陥が存在した場合、いくら多重系システムを用いても故障してしまうからです。

話が飛びましたが、パソコンも人工衛星同様にパソコン内部から放出される電磁波を漏らさないようにシールドが施されているはずです。他にシールドはパソコン内部の電子回路に外部の電磁波からの干渉を受けないようにする役目もあります。

3.天候(雨などが降れば電波が減衰しやすい)

水は高周波帯の電波を減衰する特性がありますから、雨や霧の中でWiMAXを使用すると、ネットに繋がりにくくなるケースもあるかもしれません。例えば、潜水艦が海の中からでも通信できるように低い周波数を使用するのは、低周波が水の壁(海のこと)を容易に貫通するからです。

ソフトの要因

1.無線モジュール等のドライバ不良

これは「パソコンに関連する様々な無線接続トラブルまとめ」の3番に該当すると思います。無線に限らず、パソコンの動作がどこかおかしい時は、早めにドライバを最新にアップデートすることをお勧めします。

2.OS、BIOS、アプリケーションソフトのエラー

OSやBIOSの不具合であれば他の人も同様の問題を経験している可能性がありますから、ネットを検索すれば解決策がわかる可能性があります。

問題なのは個々のアプリケーションソフトに起因すると思われるエラーです。この場合は人によってインストールするソフトがそれぞれ異なるわけですから、自分で最近インストールしたソフトなどを一つ一つアンインストールしながらチェックしていくのが、一番最初に取るべき無難な手法だと思います。

ハードの要因

1.回路基板の不良

ここで考えられるのは主にはんだ不良でしょうか。他にトラックが傷ついて断線しているということもたまにはあるかもしれません。

参考までに、ThinkPadのTやXシリーズは、ロールケージ構造を採用しているので、システムボードを留めるねじも基盤に直付けじゃないですから、パソコン本体が多少歪んでもはんだにクラックが起きたりしてシステムボードに与えるダメージは少なくなるように設計されています。これがThinkPadの堅牢性が高いと言われる理由の一つです。

2.配線不良

配線不良とは、その名の通り配線が傷ついていたり断線していたりして、電流が流れなかったり信号が伝わらない状態を言います。他に、配線間違いやコネクタに十分差し込まれていない場合も含みます。たまにネットなどでは、初期不良の原因が単にコネクタにコードが十分差し込まれていなかったという話も聞きます。また、自分でパソコンを分解する過程で配線を間違って断線させたりすることもあるかもしれません。

3.設計不良

無線モジュールの選択肢は限られていますから、あまり無線に関する設計不良という話は聞いたことがありません。インピーダンスのマッチング不正で、回路内の異なるインピーダンス同士の信号が反射し合う現象などがあると思いますが、そんな基本的な設計間違いをプロのエンジニアがしでかすわけがありません。

ノートパソコン全体の設計では、排熱設計が不十分でパソコンが過剰に熱くなったり、電源が落ちたりという話はよく聞きます。他に、特に安いモデルでは安価なコンデンサなどを使用しているせいで、電源部分が比較的故障しやすいという話も聞いたことがあります。

4.ICやチップ部品等のコンポーネント不良

私も大学時代はたくさんのパーツやICを使って設計してきましたが、コンポーネントレベルでの初期不良に出会ったことはありません。過剰な電流を流してICを焦がしたことなら何度もありますけど。

使用者の要因

1.OS、BIOS、無線モジュール等の設定ミス

無線接続が不安定な時に一番最初に弄るのは設定部分でしょう。これで治るのであれば良いですが、直らなければ他の可能性を疑う必要があります。

2.パソコンを落としたりぶつけるなどの物理的故障

パソコンを落としたりぶつけて壊したら、電源自体が入らないことが大半だと思います。無線の機能だけピンポイントで壊れる可能性は少ないでしょう。

前記事でWiMAXの受信感度の低さがハードの故障でないと判断した理由

前記事「パソコンに関連する様々な無線接続トラブルまとめ」の4番で、X230のWiMAXが故障していないと判断した理由は、まずデバイスマネージャでWiMAXが正常に認識されているということ。次にハードウェアのテストでも全て問題なし。最後に、無線LAN(WiFi)が正常に動作しているという事実。つまり、インテルの無線モジュール(Centrino-6250)は、無線LANとWiMAXの機能が一つのモジュールに統合されているため、無線LANが動作しているのにWiMAXが動作しないとは考えづらい。ちなみに、どちらも2.4GHz周波数帯ですからアンテナも配線に使用するコードも共用です。

以上により、X230のWiMAXがハード不良ではないと判断しました。

まとめ:

以上でパソコンでのワイヤレス接続に関わる問題を、根本的な原因からいろいろ考えてみました。まずは個人でできることからチェックをしていき、ステップを経るごとに段々と深い専門知識や動作検証のために専用の機器が必要になってきます。個人でできることは限られていますから、どうしても問題が解決しない場合は、さっさと割り切ることも重要だと思います。

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