動物の視点から畑を眺めてみる

日差しが強い日中に屈んで草取りをしていた際、小さな畑でも見る視点が違うことにより、印象が全く異なることにふと気づきました。それで、試しにナスと里芋の畝の間をできるだけカメラを地表に近づけた状態で撮ってみました。それが上の写真ですけれど、これを見ると何か幻想的で不思議な世界に迷い込んだ気がします。人間の視点からは単にナスの苗が一列に植えられているに過ぎませんが、小さな動物や虫にとってはちょっとした樹海に感じているのかもしれません。

緑のモール

丁度ナスの葉と里芋の葉が屋根の役割をして、日光を適度に遮ってくれます。真夏の暑い時期には、多くの虫たちがこのような葉っぱで蔽われた緑のモールの下で休んでいるんでしょう。でも虫たちにとっては都合が良いかもしれませんが、草取りをする私からすれば、畝の間に入って行きづらいので大変です。

見る視点が異なることで、全く違った世界が見えてきます。登山が近年ブームですけれど、それは普段平地に住んでいる私たちが、高い所から広い世界を見てみたいという願望があるからかもしれません。地面を這って生きている小さな動物や虫は、人間がどのような風景を見ているのか想像もつかないはずです。しかし、それは人間同士でも同じことが言えるんでしょうか。私はそう思いたくはありません。



「山近く月遠うして月の小なるを覚ゆ、便ち道(い)ふ此の山、月よりも大なりと、若(も)し人あり眼大にして天の如くなれば、反って見る山、小にして月の更に闊(おおい)なるを」
王陽明の詩より

意味:
山が目の前にあって月が遠くに見えれば、山の方が月よりも大きく感じられる。しかし、もし人に真理を見通せる広い視野があれば、山は小さく月が遥かに大きい事がわかる。


おわり