自然農・栽培の手引き

本書は自然農法によるお米や野菜の栽培方法から、種の採取や保存の仕方まで説明してあります。非常にわかりやすいので、お勧めです。

本の初めの方で、季節別に自然農法がどのように行われているか写真付きでまとめてあります。これらの写真を見ると、雑草と共生して野菜が育つことを見て取れるでしょう。

本書の大半は挿絵により説明されています。絵は丁寧に描かれているので、非常にわかりやすいと思います。

第1章:田畑と出会う・田畑を開く

自分の畑の畝立ては、こちらの書籍を参考にさせていただきました。しかし可能であれば、自然農法を行う上で畑の見つけ方から、荒地の開墾の仕方、畝立ての仕方などいろんなケースを想定しつつ、もっと詳しくページを割いて説明していただけたらと私は思いました。

第2章:お米を作る

お米の作り方を一から説明しています。水稲の説明がメインとなりますが、個人的には章の最後に少し説明のあった陸稲(おかぼ)の作り方を詳しく知りたかったです。(よろずがお米を作れるようになるのは随分先の話でしょうけど)

第3章:野菜を作る

私が主に参考にしたのはこの章の野菜の作り方です。一通りの野菜の栽培法が載っています。自然農法による説明ですが、通常での農作業を行う際にも参考になる部分が多いと思います。

そして本書の特徴的な所は、採取や種の保存方法まで説明している所です。循環型農業の自然農法は、基本的に在来種の野菜や作物を育てるので、採取も当然できます。しかしお店で売っている種は一代交配種が多いので、中々在来種を見つけるのは大変かもしれません。

イモ類などは収穫した後の貯蔵方法も書いてあります。普段お店で野菜などを購入していると忘れやすいですが、通常夏や秋に多くの野菜が収穫できますから、自給自足で一年中食べていくなら野菜の貯蔵方法を知っておくことは非常に重要です。

他に、蔓ありのエンドウやササゲなどを育てるために支柱を立てる際、本書のイラストを参考にしました。

第4章:雑穀・果樹

ここでは雑穀の作り方が載っています。私も場所があればぜひ作ってみたいですね。子供の頃昔話で、貧しい農民がお米を全部年貢で取られて自分たちはアワやヒエを食べて飢えをしのいだという話を読んで、どういう食べ物か不思議に思ったことがあります。雑穀はお店でも探せばあったりしますが、値段が高いので中々購入しようという気にはなりません。

果樹の項目では、様々な果樹の育て方が載せてあります。ちなみに私は大きな鉢でビワの木を植えています。本来ビワは東北で栽培するような果樹ではないんですけど、薬王樹と呼ばれる程ですから興味がてら植えてみました。中々成長しないので、今では放任栽培になっています。

第5章:理に気づいて総合的に

この章では自然農法の三原則たる「耕さない」「草や虫を敵としない」「肥料・農薬を必要としない」についてそれぞれ詳しく説明しています。他に輪作と連作障害や食害についても、自然農法の観点から説明があります。後、生きるという事について川口由一さんの哲学が語られています。

温床や温室の紹介は、私のように東北以北の寒い地域に住んでいる人にとっては参考になりそうです。

まとめ:

自然農を行う上ではその土台となる自然の視点や考え方が重要です。しかし自然農法の哲学を勉強して理解しても、じゃあ実際どうやって農作業に活かすのかとなると、たくさんの疑問点が出てきます。本書はそれらの疑問に答える自然農の実践書と言えると思います。非常にわかりやすく書かれていますので、私は参考になりました。

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