アメリカの農場で除草剤に耐性を持つ遺伝子組み換え小麦が見つかった問題

アメリカのオレゴン州で、除草剤への耐性を持った遺伝子組み換え小麦が発見されたという発表が米農務省からありました。同省は事態を深刻だと受け止め、本格調査に乗り出すとのことです。問題なのは、どのようにして農場に遺伝子組み換え小麦が紛れ込んだのかということです。

当サイトでも科学技術、特に遺伝子操作技術に関するリスクについて書いたことがありますが、危惧していることが少しづつ現実化しているような感じです。

アメリカの豆やとうもろこしはすでにほとんどが遺伝子組み換えになっていますが、今は問題がなくても将来的に生態系にどのような影響を与えるのかは未知数です。時間が経てば、いずれは影響があるのかどうかは嫌でも知ることになりますが、気づいた時には手遅れとなる可能性だってなくはありません。

この記事(英語版)を読んで思うのは、彼らが自国の重要な輸出産業たる農業に与える影響についてだけ関心があるという事です。自然や生態系の影響がどうこうじゃなく、金勘定で物事を判断しているところがアメリカらしいと思います。いずれにしろ、自国で生み出した過ちは自国で何とかしてもらいたいものです。

“Hopefully our trading partners will be understanding that this is not a food or feed safety issue,”

このような言葉も外交上では、圧力に変わるんでしょうね。過去に日本に対して牛肉を安全だから輸入をするようにと圧力をかけたことがありますし、農作物でも同様のやり方で今まで通り諸外国に輸出するんでしょう。

遺伝子を人の都合で組み替えたような野菜や作物が日本に入ってくれば、自然に沿った農法でさえ持続性が失われ、特殊な農薬などを使わなければ成り立たなくなる可能性だって考えられるわけですから深刻だと思います。ちょっと前には、除草剤が効かないスーパー雑草に関するニュースがあったと記憶していますが、今後このようなニュースが増えてくるのかもしれません。

日本語記事:
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013053001001203.html

海外の記事:
http://www.katu.com/news/local/USDA-Non-approved-genetically-modified-wheat-found-in-Oregon-field-209380451.html