外国人から見る日本人の印象 前編

最近、外国人が日本に滞在して感じた印象を述べている記事があったので、それを取り上げたいと思います。

注:上記は、2011年にアメリカ、ロサンゼルスで開催されたミクノポリスコンサート会場の写真です。多くの外国人が集まり、コンサートは大成功を収めました。この成功を契機に、他の国でもミクの疑似3Dコンサートが開かれることになります。

日本に長期滞在した外国人の日本人に対する感想

取り上げる記事の名前は、「欧州財閥の御曹司がヘイトスピーチを痛烈批判」です。内容を読むと、一部言い過ぎに感じる部分もありましたが、全部が的外れのことを言っているとも思いません。ですから、このインタビューの中で、5年間日本に滞在した彼が感じた印象について、部分的に取り上げたいと思います。

1.日本人は礼儀正しいが、フレンドリーではない

「一言でいうと日本人はポライト(礼儀正しい)だけどフレンドリーではない。街は綺麗で、人も親切で丁寧だが、 誰かと親友になることは滅多にない。むしろ僕は、アジアから来た人と友だちになることが多かった。」

この点は、彼の言う事に同意します。オーストラリアに長いこと住んでみて、その間多くの国の人と関わってきました。その中でよろずの大半の友人は、日本人じゃなく外国人でした。特に、中国や韓国の人と仲良かったです。文化的背景が似ていましたし、いろいろ率直に話し合えたからだと思います。東アジアでの国際関係は複雑化していますが、国家と個人の関係は全く異なります。

2.レイシズム(差別)

「レイシズムにイラッとする感覚は突然訪れる。ある日電車に乗ったら、隣に座っていた人が逃げるように席を変えた。 露骨なことは言わなくても、こうしたことで感じる。」

「家を探すにも、『外国人お断り』と言われることがある。ヨーロッパならこんなことは違法だ。日本人は、それについて『日本が特殊なんだ』とか言い訳するけど、くだらない。そんなのはあり得ない。」

レイシズム(人種差別)に関しては、どこの国でもあることです。私もオーストラリアで何度も経験しましたし、仕方ないと思います。

3.社会の閉鎖性

「日本語が上達しても日本社会には完全に受け入れられない。」

これはどこの国でも大なり小なりあります。言語が上達することと、社会に受け入れられることは違います。

4.日本人同士でしか仲良くしない

「僕が出した結論は、日本人は自分たち同士でしか好きになれないということ。」

私だったらこう訂正します。日本人同士でしか好きになれないんじゃなく、日本人でかつ似たような価値観を共有する者同士でしか好きになれないということです。そもそも、当の日本人同士でさえなかなか親友にはなれません。年代が離れていれば、まず無理でしょう。同年代でも、敬語を話しながら差し障りのない話ばかりでは、親友になることは厳しいです。そう考えると、オーストラリア滞在中は年齢に関係なく親しく話せたのでなつかしいですね。

夏目漱石も「私の個人主義」の中で現代社会の人間関係の希薄化について言及しています。知識が深く専門化していくことにより、自分と関係がある分野の人としか関わろうとしなくなる傾向が出てくる、ということです。

私も日本に帰国してから似たような経験をしました。相手が限定した話題にしか興味を示してこないと、虚しく感じることもあります。まあ相手に合わせるのが苦手ですから、単純に自分のコミュニケーション能力が低いという問題もあるでしょう。幅広い知識や理屈を付けることなら自信あるんですけどね。

5.模範的日本人とその社会構造

「日本社会が日本国民にそうなるよう要求している構造になっている」

これは、世間知のことですね。日本の常識や習慣が模範的な日本人像を作り出し、そうなるように要求している。模範から外れる人間は排除される。でも、すぐに人々の考えや習慣が変わることはないですから、気長に待つしかないと思います。グローバル化の流れを日本社会も受け入れるのであれば、必然的に多様性を受け入れることになるでしょう。価値観の多様性に不安を感じる人が多いのであれば、グローバル化を極力しないという選択肢も日本にはあるのかもしれません。

この記事を読む限り、彼は日本に対してあまり良い印象は持っていないみたいです。元々日本に興味を持って言語を学び、そして来日したのでしょうが、残念なことです。

後編に続きます